痩せる男の話。

「博士、お元気ですか」

「おお、おおお! ユミコ君じゃあないか、久しぶりじゃないか。まあ入れ」

「入りますから寝そべってないで起きあがってくださいよ。あたしは今日もミニスカートですよ」

「よっこらしょ。ユミコ君、元気にしとったかね、てゆうか何してたの?」

「結婚してました」

「え!」

「デキ婚です」

「ええ!」

「いま二歳と一歳です」

「えええ!」

「驚きすぎです。それから、離婚もしました」

「激動じゃないか! それはビックリじゃよ」

「あのねえ博士、あたしがここに最後に来たのっていつですか」

「わからん」

「さすが、即答ですね、まあだいたいこういうことを調べたりするのは脳内美人助手のあたしの仕事ですからね」

「ああ」

「あたしが最後にここに来たのは去年の三月ですよ! ただこれはエロすぎて公開されてないから、一般に公開されている日記で言うと、あたしの最後の登場は、一昨年の十二月です! 二歳と一歳の子供がいるわけないでしょうが!」

「あう。おお」

「なんという騙されやすい人なのでしょう」

「いやもう久しぶりすぎて」

「あたしが干されてたのは、ようするに博士がリア充すぎて日記を書かなかったからでしょうが! それもよりによってあたしより若いような小娘と! このエロじじい!」

「ユミコ君、顔が怖い。とりあえず口角をリフトアップしようか……怖っ! 余計怖くなった! もとに戻そうか」

「そんなに若い女とのセックスがいいんですか、巨乳がええんですか」

「そのへんは大変にデリケートなトピックであるからして、ほかの話題にしないか」

「他の話題も何も、あたしはちゃんと用事があってここに来たんですけど」

「ん?」

「博士、体重が減ったでしょうが」

「ああ、減った」

「ダイエットに成功したらダイエット法を書くって言ってたでしょうが」

「おお!」

「だから書きましょう、さあ書きましょう、それで、まさか、若い女と裸で有酸素運動して痩せたって言うつもりじゃないでしょうね」

「助けてー!」

(つづく)